理系的ベース練習法その2

今回はその1でも取り上げた中間目標である、コード進行のルートを曲に沿って弾けるようになるための練習法をとりあげる。

まず、ベースという楽器はピアノとは異なり、同じ音を異なる場所(フレット)で掻き鳴らすことができる。これを異弦同音と呼ぶ。一般的な4弦ベースは、低い側から順に完全4度間隔でチューニングされるため、一つ高音弦側の5フレット下は同じ音階になる。そのため、あるコードのルートといっても弾く場所に任意性が残ることに留意する。

次に、ベースあるいはギターのような弦楽器には、TAB譜と呼ばれる便利なものが存在する。これは奏でるフレットを数字で表したもので、視認性がよく分かりやすい。しかし一方で五線譜とは異なり、実際に鳴らしている音が何の音であるか、というのが蔑ろにされがちである。たとえば3弦3フレットはCの音であるが、TAB譜に慣れていると、あくまでこの音はCではなく3弦3フレットの音として把捉される。 これは中間目標を達成するには足枷となる。

そこで重要になってくるのが、指板の音を全て覚える、ということである。ピアノであれば白鍵や黒鍵のおかげで覚えるまでもないが、ベースの場合は意識的にやらないと、指板の音は覚えられない。 指板の音がすべて分かってしまいさえすれば、中間目標はほぼ達成できる。

ではどのように覚えるのが効率的だろうか。 個人的なおすすめは指板をいくつかのブロックに分けて、そのブロックの中でとりあえずシャープやフラットのつかない音、つまりCメジャースケール(ハ長調)に含まれる音をすべて覚えるという方法だ。 ブロックの分け方は色々とあるが、1ブロックあたり4フレット分くらい含まれるように分割すればなんでも良い。 また、12Fから先は0Fと同じ音の並びになるため、覚えるのは0-11Fまででよい。 シャープやフラットのつく音に関しては、Cメジャースケールの位置から内挿すればすぐに分かるので、意識的に覚える必要はあまりないだろう。

これは結構地道な作業となるため飽きがちだが、それだけの価値がある。 少しでも覚える作業を楽しくするために、私はいろいろな曲のコードのルートを、限定したブロックの中で弾ききる、 という練習を良く行なった。 例えばU-フレットというサイトはおすすめである。

指板の音をすべて覚えるのはかなり大変だが、この先に至るためには必ず通らなければならない道なので、 是非とも頑張って練習して欲しい。 これができれば、中間目標の達成は自動的になされる。 ただ前の記事でも述べたように、ルートを弾くだけでは単調な演奏になってしまう。 そこで他の音も交えて演奏する必要があるが、そのためにはまた別のトレーニングが要る。 これは次の記事で述べることにしよう。