コード進行解析「fantastic dreamer」Bメロ〜サビ

ではBメロの解析から。

Bメロ

ここはなんと言っても3/4拍子に変わるのがエモすぎる。最高にワクワクするぜ! 初め4小節のコード進行は、IIm7 => V7 => III => VIm7となっている。 普通のツーファイブワンと見せかけて、ノンダイアトニックなIIIへと向かう。 IIIはドミナントモーションによりVIm7を強く欲するので、 その意味でこれはセカンダリードミナントと捉えても良いかもしれない。 いわゆる1625進行の逆循環において、IをIIIで置き換えたものと考えることもできる。

続く5小節目からは4/4拍子に戻り、#IVm7(b5) => IIm7 => IIIsus4 => IIIと進行する。 この理論的な解釈は難しいが、自分なりに解釈してみると以下のようになる。

  1. I => IIm => IIImという順次進行がもとにある
  2. Iを代理の#IVm7(b5)に変化させる
  3. IIImをIIIへと変化させ、浮遊感を醸し出す
  4. IIIに解決する前にIIIsus4を挟み解決を遅らせる

ということだろうか?誰か良い解釈があれば教えてほしい。

サビ

そしてお待ちかねのサビである。 最初の4小節は頭サビと全く同じである。 なお4小節目のIII/bVIはルートから見ればbVImaugと捉えることもできるが、 いずれにしても何故この形で用いられているのかはよくわからない。

4小節目のIIIは次にIVを強く欲し、Iで一旦解決する。 ここのIはI/IIIとオンコードになっており、このおかげで前のIVからルートが半音下行する。

続く#IVm7(b5)はこの曲の中では何度も出てきているものである。 ここでの役割はやはりトニックの代理か? 後ろのIIIはセオリー通りVIm7へと進行する。 この際IIIはIII/bVIとなっていることで、ルートが半音上行する。 ここのVIm7 => V/VII => Iの流れは、Aメロの最後と同じ進行である。 ルートが順次進行し、T => D => Tと解決している。

IV => III => IV => IVという比較的落ち着いた進行を経由したのち、 I/III => VIm7 => F#m7と古典的な1625進行か?、と思わせておいて、 例のbVI => bVII => Isus4 => Iと進む。 VではなくbVIへと進むことで意表をつく素晴らしい進行だ。 なお、IがI/IIIとなっているのは前のIVからルート音を半音下行させるためと考えられる。 この曲全体を通して、オンコードが多用されていることが分かる。

アウトロ

本解析は1コーラスのみなので、サビ後はアウトロへと向かう。

アウトロは(IV => I/III) => (IIm7 => I/III) => (IV => I/III) => (IIm7 => IV/V) => Iadd9となっている。 2拍ごとにコードチェンジすることで、終わりへと向かう感じが出ているように思う。 SD => Tの流れを3小節分繰り返し、4小節目で2小節目と同じ流れと思わせておいて、 禁則進行(IIm7 => IV)を挟み、トニックへ終止する。 ただ、ここでは禁則進行という捉え方よりも、 IV/V = V9sus4omit5より、V7の代理の性質があることに注意し、 ツーファイブワンで進行していると考えるほうが良いかもしれない。

まとめ

一通り解析してみたが、まだまだ全然作曲者の意図は汲み取れていないと思う。 いくつかよくわからない点もあるが、いちばん大事なのはサウンドそのものであり、 理論はあくまで後付けなのだ。

この素晴らしい楽曲に祝福を!